停電

今日の午前1時20分頃、急に部屋の電気とパソコンの画面が消えた。大きな唸り声を上げていた除湿機の音も、まるで死んだように消え去った。「あー、停電か」と思い、ブレーカーを上げに行くと、隣の部屋から悲鳴がする。もしかして僕の部屋だけじゃないのかと思い、T杉に電話してみると、彼の所も同じような状況らしい。携帯電話と懐中電灯を持って外に出た。福祉大のファミリーマートも明かりが消えていた。「こりゃ本物だな」ということで、バイト先のコンビニに行く。途中でS島に電話してみると、市内のほうは大丈夫とのこと。ということは、おそらく停電しているのはこの一角だけなのだろうか。
もちろん外には街燈も何もついていなかった。マンションの廊下の非常灯だけがか細い光を懸命に発していた。不安がった住民達が次々と外に出てきた。僕は右手に持った懐中電灯をつけたり消したりしながら、雨上がりの絡みつくような空気の中を前に進んだ。
バイト先に着くと、オーナーとこの日のバイトが2人であわあわしていた。オーナーは方々へ電話を掛け、バイトは停電でローソクや電池を買いに来たお客のレジ打ちをしていた(レジは非常電源で数時間動くらしい)。当事者じゃないこちらは、もう楽しくて仕方が無かったのだけど。少し冷やかして帰ることにした。
とりあえず帰宅してはみたものの、一向に復旧する気配が無い。暇なのでガスコンロでお湯を沸かし、懐中電灯の明かりの中、スコッチのお湯割りを飲んでみた。暖房が消えて寒かったのだ。そして忘れないうちにと、この日記のために起こったことをメモしていたら、停電して約1時間後にようやく明かりがついた。部屋中の電化製品がまるで長い間息を止めていたかのように光りだす。そして、その瞬間に僕はメモをやめた。はっきり言って、馬鹿馬鹿しくなったからだった。
この停電で僕が得たもの:懐中電灯は玄関に置いておこうという教訓
僕が失ったもの:書き込み掛けだったCD-R1枚、単3乾電池2本